アジアに進出した欧米人にとっては、アジア人種というのは、よほど得体のしれない不気味な人々といった印象があったのかもしれない。少なくとも、この本に描かれる限り、ロシア人は、よほど日本人が怖かったみたいだ。何をしでかすのかわからないというか、自分の命を無視して、無理やり突っ込んでくる怖さ、というのはあったのかもしれないなあ。と思った。どう見ても、物量的に勝てる戦争なのに、何を怯えて、わざわざ後退したり、進むのをためらったりしているのだろう。という。日露戦争は日本が強かったというよりは、ロシア側の不備で、勝手に負けてくれたような感じに見える。
問題は、そういう日本のぎりぎりの勝利を、日本の各新聞が持ち上げ、それに熱狂した庶民と、その庶民の声によって、ますます戦争を持ち上げる新聞という構図ができてきたということなんだろうな。
当然負けるべき戦争に、うっかり勝ってしまって、世の中がなにか勘違いしたというか。そういう流れは、なんとなく見えてきた。ような気がする。
