星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「西の善き魔女」第5巻 荻原規子

読書15.「西の善き魔女」第5巻 荻原規子 角川文庫

これにて、完結。非常に面白かった。素晴らしかったです! これは、老若男女、洋の東西を問わず、全人類におすすめしたい小説でした。

ここから先は、ネタバレ全開で書くけど、竜が脅威なのではなく、人間こそが脅威なのだ。という結論には、非常に納得がいくものでした。竜が人間を滅ぼすのではなく、人間が竜を滅ぼしてしまうだろう。という、その凶暴さが、リアルでいい。

物語は、二転三転して、グラール王家の有り様について、いろいろ考えさせられ、ひいては、それは人類の行く末まで暗示させられる。世界を守っている壁の秘密は明かされて、最後に、女王陛下の登場と、彼女のもう、どうでもいい。という投げやりな態度。いかにも疲れ果てた老人の結論と、対抗する孫娘たちの若さの対比。

女王が一人じゃなくてもいいんじゃないか? という無茶な結論に、それもありなのかといろいろ頷かされ、3人の少女たちが作るこの世界の今後を想像してみたくなります。

ぐるぐる回ったフィリエルの旅につきあうのも、ここでおしまい。この先は、外伝が3冊、続くみたいなので、楽しみにしてます。