星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「黄昏の岸 暁の天」 小野不由美

読書23.「黄昏の岸 暁の天」 小野不由美 新潮文庫

昔、「魔性の子」を読んだ時に、高里くんがあまりに気の毒で、ラストシーンを見ながら、向こうへ帰って幸せになってね。と思ったものだったが、向こう側についても、ほとんど死にかかっている状態で、その上、さらに苦難の旅路を強いられるみたいだから、もう涙しかないという。なんで、この子を6年もの間放置していたの!? と思うと、天の理に対して、腹が立つというか、神々が存在するというのなら、そいつら何者なのか? と、気になります。それに対しても、作者は答えを持っているのだろうか?

 とりあえず、やっと出た続巻を、この先読んでいきますが・・・。

「イザベラ・バードの日本紀行」下巻 イザベラ・バード

読書22.「イザベラ・バード日本紀行」下巻 イザベラ・バード 講談社学術文庫

かなり時間がかかったけど、何とか読了。北海道のアイヌとの交流が一番興味深かった。

「華胥の幽夢」 小野不由美

読書21.「華胥の幽夢」 小野不由美 新潮文庫

5作入り短編集。4作が、本編の補足的物語だったのに対して、表題作にもなっている「華胥」だけが、比較的独立した短編。「風の万里」でちらっと出てきた才国の黄姑の物語ですね。正確には、その前王の話。

「人を責め、非難することは、何かを成すことではない」「主上を責める資格があるのは、主上よりも巧く国を治められる人だけではないのかしら」

なんだか、民主党政権への批判だろうか? とちらっと思ったんだけれど、作品が発表されたのは2001年なので、ずいぶん先見の明があったなあ。と思う。

「図南の翼」 小野不由美

読書20.「図南の翼」 小野不由美 新潮文庫

終わってみれば、珠晶と一緒に黄海を旅した気分。一番怖かったのは、人の言葉を話す人妖に襲われるシーンかな? この手のホラー描写はさすがに手馴れているなあ。という感じがした。妖魔の住む世界の中で、誰を犠牲にして、先に進むか? というテーマが入ってくるので、その問答の中身がいろいろ考えさせられました。そして、一番感動したのが、珠晶が、とり残された人々を助けに戻っていくシーン。わざわざ、危険な場所へ、見知らぬ他人のために引き返すことができるか? それができる彼女は、やっぱり王の器なんだろうと思った。

「丕緒の鳥」 小野不由美

読書19.「丕緒の鳥」 小野不由美 新潮文庫

一言で表すなら、「公務員は頑張ってますよ」4作品。民の知らないところで、国のためにどうすればいいのか思い悩み、頑張っている役所の人たちがいるという話。どれも考えさせられる深い話で、よかったです。私たちの世界も、そうやって無数の人たちに守られているのかもしれないなあ。と思わされました。

「風の万里 黎明の空」上巻 小野不由美

読書17.「風の万里 黎明の空」上巻 小野不由美 新潮文庫

これも、初版以来の再読。3人の少女のうち、私が引っ掛かったのは鈴の物語で、今、読み直しても、いじめられていた女の子に、いじめていた人間の気持ちをわかってやれ。というのは無茶だろ? という気もする。だが、「好きでその場所にいたんだろ?」という指摘は、もっともな気がして、嫌だったら、とっとと出ていけばいいわけで、嫌な場所に、文句を言いながら、100年もい続ける人間がいるのだろうか? というのが、最大の疑問だった。で、今は、意外と、いるのかもしれないなあ。と、ちょっと思っている。

「東の海神 西の蒼海」 小野不由美

読書16.「東の海神 西の蒼海」 小野不由美 新潮文庫

初版以来、26年ぶりに再読。初読の時よりも、今の方が実感を伴って読むことができたと思う。まず、斡由のような自分の失敗を認めることができないタイプというのは、実際に世の中に多いんだと今はわかること。水害による被害の恐ろしさを、最近、しみじみと実感すること。

一見、もっともらしく見える斡由の言葉に、うかうかと騙される自分も存在すること。

そういう部分を含めて、物語がきちんと斡由の欺瞞を暴いていき、堤を壊すかどうかで、斡由の気持ちを試した尚隆のやり方の巧みさに感心し、きれいなエンディングまでたどり着く。その完成度の高さを含めて、これは、見事だ。としか言いようがない。