星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「かがみの孤城」下巻 辻村深月

読書9.「かがみの孤城」下巻 辻村深月 ポプラ文庫

失敗したなあ。と思うのは、これ、叙述トリックを使ったミステリー小説なので、アニメを先に見ちゃいけなかったんだ。アニメを先に見ると、ネタバレになってしまう。落ちは知らずに読んで、ラストでそうだったのか! とびっくりするのが正解じゃないかと。

まあ、オチを知っていた分、こことここが伏線ね。と思いながら読んだんだけど、アニメじゃ分かりづらかったキャラの心情が、小説だとより丁寧に書かれているし、置かれた立場や状況なども、小説のほうがわかりやすいと思う。

小説には興味ないけど、内容だけ知りたい。という人には、アニメ版を勧めるが、小説とアニメとどっちを先にしようか迷っているんであれば、小説を先に読めと勧めたい。

「ゲド戦記」第6巻 アースシーの風 アーシュラ・K・ル=グウィン

読書8.「ゲド戦記」第6巻 アースシーの風 アーシュラ・K・ル=グウィン 岩波少年文庫

最終巻、読了しました。ラストにふさわしく、キャラクター総出演。という感じで、ゲドやテナーはもちろん、テハヌーやアイリアンやレバンネン、ロークの長たちも出番が多く、彼らのその後の物語が見れたのは嬉しい。

レバンネンがすっかり王様らしくなっちゃってて、いろんなところでその実力を発揮させて、抜かりなく立派なのに、それでも、結婚の話が出てくると、ものすごい不満そうに彼らしからぬ勢いで怒っているのが、若いなあ。と思って、かわいくていい。

新キャラクターもそれぞれ魅力的で良かったと思います。いい作品を読ませていただきました。楽しかったです。

「ムーミン谷の彗星」 トーベ・ヤンソン

読書6.「ムーミン谷の彗星」 トーベ・ヤンソン 講談社文庫

平成アニメ版の劇場版は視聴済み。だけど、見たのがだいぶ前になっちゃったので、かなり忘れてます。

テレビアニメ版とはずいぶん雰囲気が違っていて、なんなの? これ。と思った記憶があるんだけど、原作通りだったのか。と、納得した。

解説によると、この作品は、ムーミンたちがムーミン谷に住んで間もない頃の話。ということで、スニフとは最初から友達だけど、ミィは出てこないし、スナフキンスノーク兄妹とは初めて出会ったことになっている。貴重な出会いのシーンが見れて、嬉しい。

ムーミンの家や家の前の橋もパパの手作りだと知って、感心した。パパ、すごいな。

「ゲド戦記」第5巻 ドラゴンフライ アースシーの五つの物語 アーシュラ・K・ル=グウィン

読書5.「ゲド戦記」第5巻 ドラゴンフライ アースシーの五つの物語 アーシュラ・K・ル=グウィン 岩波少年文庫

外伝の中編を5作品並べたものだが、とにかく、物語の設定の作り込みがすごい。おまけにアースシー解説までついていて、この世界の歴史や文化が事細かに書かれている。この世界観だけで、歴史的な物語がもっともっといくつもありそうで、全部、小説にしてくれ! と思ってしまう。

5つの物語は、それぞれ「ゲド戦記」本編と絡み合い、その続きまで教えてくれた。ラストに登場するアイリアンが、この先の最終章でまたどんな活躍をするのか、続きもすごく楽しみです。彼女は、ゲドやテナー、テルーやレバンネンとどういう関わりを持つのだろうか?

「ゲド戦記」第4巻 帰還 アーシュラ・K・ル=グウィン

読書4.「ゲド戦記」第4巻 帰還 アーシュラ・K・ル=グウィン 岩波少年文庫

男って生き物のたちの悪さ、どうしようもなさ、情けなさを、これでもかこれでもかと描き、なんだか作者の怒りや憎しみまでこもっている感じがした。それでいて、結構、それが核心をついているように見える。

改めて、ゲドがこんなに頼りにならない男だったとは・・・と知って、愕然とする。私もテナーと同様に、ゲドさえいてくれたら。と、どこかで思っていたのかもしれない。

肝心のゲドは、物語の中盤から姿を消してしまい、ラストに至るまで出てこないし、テナーが一人で頑張る話で、全体的に女たちの物語になっているような気がする。その強さを。

「ゲド戦記」第3巻 さいはての島へ アーシュラ・K・ル=グウィン

読書3.「ゲド戦記」第3巻 さいはての島へ アーシュラ・K・ル=グウィン 岩波少年文庫

もうね、この本の感想は、アレンがかわいい! かっこいい!! ってことに尽きると思うんです。

こちらの気分としては、年齢的に完全にゲドの方に同調しちゃってて、こんな若い男の子が、自分を慕って、敬愛してくれる。地の果てまでもついてきて、助けてくれるって、こんなありがたい話もないわけで、いいよなあ。アレン。

そりゃもう、こんな旅をしてよかったのか? こんな男についてきてよかったのか? といろいろ迷うことはあったとしても、結局は、最後までゲドのために尽くして、一生懸命かばって、守ろうとしていて、その姿が健気すぎて、胸打たれます。

王家の血筋を引いているにふさわしい、誇り高さも強さも優しさも、すべてが立派で、良かったです。