5.「ペンキや」 作:梨木香歩 絵:出久根育 理論社 評価★★★
梨木香歩の絵本シリーズです。やっと本屋で売っているのを見つけたので、買ってきた。絵本を買ったのも久々で嬉しい♪
とは言え、内容的にはちょっと今ひとつで残念だった。
一人の職人の一生を描いたにしては、どうもドラマとしての起伏が弱いような気がする。もう少し劇的に、夢を描いて、夢に破れて、挫折したり、立ち直ったりして欲しかったなあ。そういう部分のドラマがどうにも弱い。
どんなペンキを塗ろうとしていたのか、なぜ、主人公の塗ったペンキでみんなが満足してくれるようになったのか、そのきっかけの部分をもう少しひねって欲しかった。
あれではまるで船の上の女の人に「魔法の刷毛」でももらったから、みんな満足してくれたみたいじゃないか。なにかちょっと違うんだなあ。
お父さんと女の人の関係にも何かありそうで描いてこないし、残念。裏設定にはいろいろありそうなんだけど、どちらかといえば、そっちを知りたいな。
(お父さんとその女の人がどこで知り合って、何があったのか?)
絵本としてのビジュアル的な出来には満足しているんだけど、お話がちょっと追いついていない気がした。次の絵本に期待します・・・。