小説・一般17.「モモ」 ミヒャエル・エンデ 岩波少年文庫
感動しました。これは面白かった! テーマ的にも、これこそ大人が読むべき児童文学じゃないかと思いました。
現代社会の大人たちに「ゆとり」を取り戻せ・・・という警告を発するのがテーマで、風刺となっている「灰色の男たち」による「あなたも無駄になっている時間を貯蓄しませんか?」という問いかけが非常に面白かった。
秘密裏に隠された「時間貯蓄銀行」とか人間が一人一人持っている「時間の花」とか、イメージが本当にきれいですてきです。
モモを狙ってくる「灰色の男たち」からの逃亡と、彼らとの戦いもスリルに満ちていて、楽しませてもらいました。
私は、田舎から都会に嫁いできたので、つくづく思ったんだけど、「都会は秒刻みの慌ただしさ」という昔の歌は本当だったんですね。
人が多い分だけ、何をやっても待たされるし、競争になるし、とにかく何をおいても他人より先に「早く早く早く早く!!」と急かされるので、こちらの生活は本当に疲れます。(@_@)
70年代のドイツで発表された作品だと言うことは、そんなに昔からこの種の問題は、発生していたと言うことなんでしょうか?
ただまあ、私は逆にのんびりしすぎている方なので、少しは都会のスピードにあわせる努力をした方がいいかな? と思っているところなんですけど・・・。
道路掃除夫のベッポのセリフは、人生そのものを表しているようでした。
「長い道路の掃除をするときは、一度に道路の全部のことを考えちゃいけないんだ。あまりに長いので、これじゃとてもやりきれないと思ってしまう」
「ときどき目をあげてみるんだが、いつ見ても残りの道路はちっとも減っていない。だからものすごい勢いで働きまくる。心配でたまらないんだ。道路はまだ残っているのにな。こういうやり方はいかんのだ」
「次の一歩のことだけ、次の一息のことだけ、次の一掃きのことだけ考えるんだ。いつもただ次のことだけな」「そうすると、楽しくなってくる。楽しければ仕事がはかどる。こういう風にやらなきゃダメなんだ」
いい言葉だと思いました。
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