星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「涼宮ハルヒの消失」 谷川流

小説・一般5.「涼宮ハルヒの消失」 谷川流 角川スニーカー文庫

見事な最終回でした。もう、ここでシリーズ終わらせてもいいんじゃないかと、マジで思ったんですけど。今まで見たり読んだりしてきたシリーズの中で、群を抜いて、面白かったです。

ある日を境に、世界が一変してしまったわけだけれど、どうしてそうなったか、誰のせいなのか、という謎解きに関しては、あっさりと想像がつくわけで、そんなに気になるところでもなかったんだけれど、そう言う説明がつくところまで、キョンがどうやってたどり着くのか? 改変されてしまった世界をどうやって元に戻すのか? と言う興味で、ずっと読み進めることが出来ました。

元の世界に戻りたいというキョンの思いと、何故、戻らなくてはいけないのか? という問いかけに、こちらの気持ちも一緒に悩まされてしまうところがいいです。結局、SOS団のいた世界が、キョンにとっても、読者にとっても、一種のユートピアをなしていて、すごく楽しかったから。はた迷惑な世界、と思っていたのに、いつか、そこになじんでいて、ハルヒのクリスマスパーティを、実は楽しみにしていた自分に気づくんですね。なかなかたどり着かないその場所に・・・。

一方で、長門の疲れや悲しみも、微妙に表現されていていい。彼女もまた、人間になりたかったのだろうか? 普通の女の子として生きたかったのだろうか? そんな思いも、微妙に見え隠れしていて、物語に切なさを運びます。

そう言うのを含めて、いろんな要素がここに集結したという感じですね。

しかし、「笹の葉ラプソディ」のエピソードが、ここまで「消失」とぴったりとくっついているとは思わなかったです。「笹の葉ラプソディ」を見るなり、読むなりしていないと、この話について行けないんじゃないのかな? その辺、今度の劇場でどうやって処理したのか、気になるところです。上手く混ぜ合わせたのか、知っている人向けに割り切って映像化したものか・・・。

劇場版も見に行きたいんだけれど、時間が取れるかどうか、まだ未定です。できれば、行きたいと思ってますが、さて・・・。