「室井さんは、本当にロマンティストなのね。絶対的な正義ってもの、理想ってものを貫きたがっているみたい。絶対的な正義とか理想って、神様の別名よね?」
「室井さんは、神様を信じているのよね。それに奉仕したいと思っている」「けれども誰も、室井さんの信じる神様を信じていない。それを確認するたびに、室井さんは実は神様なんかいなくて、それは単に自分が固執している価値観でしかない、誰もが持ってる多様な価値観のひとつでしかないと悟るんだわ。それは神様じゃない。室井さんは、その度に、神様を見失ってしまう」
再読なので、改めて、気づいたこととしては、静信が書いていた小説の内容と、沙子との会話の意味が、やっと少し読み取れるようになってきたと言うことかな。昔読んだときには、よくわからなくて、スルーしたような気がする。
神様に見放されていると感じる、静信の心の闇。禅問答のようなやりとりが、結構、人間心理の深いところを語っているようで、面白かった。
- 作者: 小野不由美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/01/30
- メディア: 文庫
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