星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「夏の庭―The friends」 湯本香樹実

20.「夏の庭―The friends」 湯本香樹実 新潮文庫 評価★★★★★

児童文学系の掲示板で「オススメ作品」として紹介されていたので、手に取ってみたんですが、これは本当に感動しました。今年のベスト1かもしれない。

ところが、感動したセリフや内容にちょっとでも触れると、ネタバレになりそうで怖いというか、このセリフは、ぜひ本を読んだ時に初めて見て、感動して欲しい・・と思うので、うかつなことが書けません。もったいないです。

陳腐な書き方をしてしまえば、これは人の死とどう向き合い、乗り越えていくか・・・という物語です。それを小学生の子供たちの口から語らせるところで感動しました。

最終シーンの山下のセリフが、この物語の全てでしょう。以下、ネタバレ注意。
<font color="white>「オレたち、あの世に知り合いがいるんだ! それってすごく心強くないか!」 この言葉で、全てが乗り越えられるような気がします。死んでいった人たちはみんな、あの世にいる知り合いなんだと言うこと。幽霊やお化けや、そんな否定的な言葉じゃなくて。

あと、戦時中のおじいさんの話も胸を打ちました。戦争中とは言え、人を殺してしまった罪の重さ。そういう想いをこっそりと抱えながら、ひっそりと生きている老人たちがいるのだという事実。
「そういうことはね、言ってしまった方がいいんだよ」
おじいさんの抱えた秘密を、聞いてあげた小学生。その交流を見るだけで泣けました。

さりげなく書かれたエピソードの一つ一つが、本当に大切な夏のひとときとして、強く残りました。</font>

興味のある方は、手に取ってみてください。感動できる夏の物語です。

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