星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「クラバート」下巻 プロイスラー

2.「クラバート」下巻 オトフリート・プロイスラー 偕成社文庫 評価★★★★☆

下巻の半ばを過ぎる頃になって、ようやく面白くなってきた。と言うか、その先は一気に読み上げましたね。最後の盛り上がりだけなら★5つなんだけど、いかんせん、面白い・・と思えるようになるまでが非常に長かったので、それが減点で最後は☆になりました。

とにかく、暗い重苦しい「死」の匂いのする物語です。水車場で暮らす12人の職人たちは、大晦日の晩に必ず誰かが死に至る。

ただ、死の危機がいよいよ主人公にも迫ってきたときに、出現してくる真の友人、自分を愛してくれる少女、その助けを借りて、主人公が苦難に耐え抜くようになってくると、物語に緊張感が出てきて面白くなりました。しかも、それだけなら普通の物語なんだけど、最後のページをめくる瞬間の緊張感はそんな単純なものではなかったですね。ラストにちょっとした引っかけがあるから。

これは、少年の頑張りに対する評価の物語と言うだけではなくて、少女の側にも覚悟を求める物語でした。そういう点で、少年よりも少女向けの小説かも知れません。

子供か10代の学生に読ませてみれば、あるいは、この水車場での修行の生活に、思いの外惹かれるのかも知れないなあ・・・と思いました。学校生活からすっかり離れてしまった大人が読む以上に感じるものがあるのかも知れない。子供の頃にこの作品に出会えなかったのは、そういう意味で残念です。

<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4037261103/seiseikai-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft">クラバート</a>