星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「AIR」第10話

第10話「ひかり〜light〜」

物語は、時間軸を戻って最初から同じ展開を繰り返す。ゲームをプレイしたときに、「面白い構成だなあ」と感心したのだけど、最初は往人の視点で彼の立場から見ていたストーリーだったのに、途中から完全に切り替わって、そらという第3者(カラス)の視点に変わる。

往人の立場にいただけでは決して見えなかった他の登場人物たちの心情が、カラス相手に語られる愚痴として描かれることにより、やっとそれぞれの本音が見えてくることになる。

人の気持ちというものは、自分だけの目線で見ていたのでは、そう簡単にはわからないということだ。

プレイヤーの誰もが、最初に登場してくる観鈴に対し、「変な女だ」と不信感を持つだろう。いきなり話しかけてきて、「何でもしてあげるから自分と遊んで欲しい」とせがむ少女。必要ならうちに泊めてもいいとまで言い出す変な女の子。人によっては、そこで物語を投げ出してしまうだろう。だけど、この物語は、そのことまできちんと計算の上で、作られたストーリーだった。

一見、どんな変な言動であっても、実はその彼女の抱えている問題が思いの外深く、彼女は彼女なりに必死だったのだと、プレイヤーはここまできてやっとその内面に気づくことになるのだから。
それは、変な女だ・・・とそれだけで彼女を見捨ててしまった人には決してわからないし、変な女だけどしばらくつき合ってみるか・・・と彼女との関係を見限らなかった人だけがたどり着く場所にある。

この物語は、過酷な道をたどる。カラスになってしまったプレイヤーは、もうすでに観鈴を慰めたり、助けたりする術を持たない。話しかけることも出来ない。観鈴の方は、往人は行ってしまい、彼が帰ってきた夢を見ただけだと思っている。往人はそらとしてそこにいるのに、何も出来ず、ただ彼女たちの行く末を見守るだけの役割になる。

それにしても、往人さんと観鈴のシーンはキラキラでしたね。さすがにゲームにはここまでのシーンは入っていなかったと思います。ちょっと恥ずかしくなるぐらいでしたが、二人にはこのぐらいの幸せな時間をあげてもよいかと思います。

このレベルが落ちないのなら、差し迫った最終回が楽しみになってきました。期待してます。