星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「おまけのこ」 畠中恵

小説・一般4.「おまけのこ」 畠中恵 新潮文庫

しゃばけ」シリーズ第4弾。シリーズとしては順調だけど、正直、私の好みからすると、ちょっとぬるいなあ、と思いました。

なんというか、人間の心の闇を描くには、若だんながいい人過ぎるんだと思う。なんかもっと、暗くて重い話を見たいんだけれど、今ひとつ、ぬるくて甘すぎるという感じがした。

子供の頃の若だんなの話で「みんなで手をつなげば、アヤカシも怖くないよ」という話があったけど、そりゃ確かにみんなで手をつなげば何も怖くないかもしれないけど、みんなが仲良く手をつないでくれるとは限らないじゃん。

基本的に、若だんなというのはみんなに好かれていて、両親には甘やかされ、アヤカシたちには好かれて、みんなが守ってくれている。そういう設定なんだから、そうやってみんなで仲良く手をつないでいる若だんなに、誰からも嫌われているアヤカシの孤独な気持ちがわかるとは思えない。

私がアヤカシの立場でも、若だんなの手は取らなかったと思うな。「お前なんかに何がわかるもんか!」と、去っていく気持ちの方が理解できるよ。それを身勝手と取るかどうかは、読者の自由だと思うけど。

私の感覚だと、2巻目の「ぬしさまへ」が一番面白かったし、それ以降は、どうにも話の感じが甘すぎて、今ひとつという評価かもしれない。