読書10.「ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編」 村上春樹 新潮文庫
東京の住宅地の中に、井戸があるなんて、意味深だなあ。とは思っていたが、まさか本当に主人公がそこに入って、引きこもってしまうとは思わなかった。読者も一緒に井戸の底に閉じこもるという追体験をするわけだけど、確かに、怖い。
梯子だけが、唯一の地上と井戸の底を結ぶ通路なのに、それも取り外されちゃって、出てこれなくなるというのは、読んでいるこちらまで息苦しくなってきた。
ある種、人生におけるさまざまな苦痛を井戸の底という形で象徴しているのだろうか?? と、深読みしたくもなるが、考えすぎかもしれないし。
とりあえず、出てきたからには、生まれ変わった主人公のこれからの行動に期待したい。本当に、クミコを取り戻せるのかどうか?