星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「鉄人28号」第2巻 横山光輝

63.「鉄人28号」第2巻 横山光輝 秋田書店秋田コミックスセレクト 評価★★★★

第1巻収録「人造人間の巻」「ブラックオックスの巻」
第2巻収録「ブラックオックスの巻」「超人間ケリーの巻」「アリ事件の巻」
ここまで読みました。

非常に面白いです。1巻の最初に収録されている「人造人間の巻」がどう見ても途中から物語が始まっているように見えるのと、古すぎる絵柄がどうにも気になって最初のうちは読みづらかったんだけど、これはある程度読み進めると慣れてきました。

正太郎君の方が悪いんじゃないか? とつい思わせる善悪逆転の発想が面白いですね。読者としては正太郎君と鉄人を応援したい気持ちがあるのに、物語がそうさせてくれないと言うか・・・。どうしても敵の方に感情移入したくなってしまう。

今ちょうど、ケリーとジョンソンの話を読んだところなのだけど、彼らにだって生き延びる権利はあるんじゃないのか? そんな風に追いつめなくてもよかったんじゃないのか? と考えさせられてしまうところが気に入りました。

アリ事件の話も同じく、人間を殺していくはずのアリがどこかかわいそうに見えて、何故、彼らを殺さなければならないのか? と思ってしまう。そういう問いかけを常に物語の中に描いていく手法に感心しました。

世の中、善悪二元論で割り切れるほどそう単純ではない・・・という事実を、こんな短い物語の中に封じ込めてあるというのがすごい。

あるいは、横山ファンには周知の事実かもしれないんだけど、私は初めて知ったので・・・。改めて、感心しました。