星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ぬしさまへ」 畠中恵

小説・一般2.「ぬしさまへ」 畠中恵 新潮文庫

しゃばけ」シリーズ第2弾。今度はちょっと切ない余韻の残る短編集でしたね。個人的には、こちらの方が好み。

基本的にはミステリーなんだけれど、そうやって事件が起こる後側に、人間の持つ哀しみが見えるみたいな・・・。そういう話が好きです。

特に「栄吉の菓子」と「空のビードロ」が泣けます。どこかで誰かが、あなたのことを思っているよ。それを知っていたら、よかったのに・・・。と言う話。こういう話には弱いのです・・・。

あと、「虹を見し事」もいい。と言うか、この話でラストを締めているところにこの短編集のセンスを感じた。「もっと早くに気がついていれば・・・」という苦い後悔。相手の気持ちに気づかないまま、傷つけて、そして終わってしまった。もう取り戻せないという話。すごくよくわかる。

そうでないように、もっと大人になりたい。という主人公の決意に共感できるところです。