星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ツバメの谷」下巻 アーサー・ランサム

読書34.「ツバメの谷」下巻 アーサー・ランサム 岩波少年文庫

「ふと、昔の子どもの育て方にふれて、子どもがおとなの家来で、いつもびくびくしているのではなく、おとなの友だちになれる今のほうがずっといいといった」

この物語中の大人がとても素敵なのは、子どもたちの友だちだからなんだなあ。と思った。そしてそれは、彼ら自身が子ども時代にとても苦しい思いをしたことを、さり気なく物語っている。子どものしつけに厳しい大おばの登場は、アマゾン海賊だけでなく、彼女たちの両親や叔父さんにも影響を与えているし、だからこそ、彼らが子供時代にこっそりと山に登り、登頂記念のメッセージを残していた事実が感動的だ。

彼らはきっと、自分たちがおとなになったら、大おばのような無理解な人間ではなく、子どもたちの良き理解者になることを誓ったんだと思うし、それを実行したんだと思う。

この物語に触れた読者にも、それが伝わるといいなと思う。おとなになっても子どもの時の気持ちを忘れずに、子どもたちのよき友だちになれるように。