星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「バッテリー」第3巻 あさのあつこ

小説・一般15.「バッテリー」第3巻 あさのあつこ 角川文庫

自分の実力を信じ切っている巧の強さが、かっこいいです。

先輩だろうと先生だろうと監督だろうと、思い切り強気で向かっていく。なあなあで生きている人間には、腹立たしくもあり、うらやましくもある。そう言う意味で、彼をいたぶった先輩たちの気持ちもよくわかるし・・・。

強気で本気でぶつかっていく少年が、周りの人間を変えていく話だと言えば、そんな感じなのかな? 巧の成長物語というよりは、巧の姿から逆にこちらが教えられるのだ。

自分が本当にやりたかったことってなんだったのかな? という具合で・・・。

たとえば、私は中学高校と5年間、吹奏楽部にいたんだけど、今、思い返してみても、あれは私の本意ではなかったなあ、という気がするのだ。音楽は好きだったけど、楽器の演奏なんか好きじゃなかった。子どもに楽器をやらせたかったのは、うちの母親の趣味なんだよ。(−−);

私があのとき入りたかったのは、吹奏楽部じゃなくて合唱部の方だったんだと、今ならわかる。楽器の演奏なんぞ、指の訓練にしかならない。下手でもいいから、自分で歌う方がよっぽど気持ちがいいじゃないか?

大人の顔色を見て、その場のことを判断しているから、後悔することになるんだ。自分のことなのに、自分で選ばなかったから。

今でも優柔不断なのは変わらないんだけど、巧が真っ直ぐに自分の力をぶつけて、周囲を変えていく姿を見ると、やっぱうらやましいと思います。自分にない強さだから。

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