映画12.石田祐康監督「陽なたのアオシグレ」 (日本・2013)
「フミコの告白」に似ているなあ。と思ったんですけど、監督が同じ人でしたか。ただ、決定的に違うし、私は「フミコの告白」の方が好きなのは、「フミコの告白」は片思いだったし、その想いは報われないまま終わるという点。これだけ思っているのに、報われないからこそ、ギャグとしても面白いし、笑えたんだけど、これが両思いだと話が違う。
「陽なたのアオシグレ」の場合は、正直、主人公の少年の妄想が気持ち悪い領域になっちゃって、それを受け入れる少女にしたって、ありえないだろ~という現実感のなさ。
私から見て、この主人公は、どちらかと言えば、キモイし、ウザイから、近寄らないで。という拒否反応ばかり感じる。これで、この主人公が思っている少女から拒絶され、嫌われているんであれば、その妄想に対しても、切なさが生まれて、逆に同情したくもなるんだけど、この場合、そうじゃないから、気持ち悪い。
アニメーションとしての映像センスはすばらしいものがあったし、空飛ぶシーンなどいろいろ感動的ではあったんだけれど、少年の妄想に現実感がないまま終わっている部分(少女が彼を拒絶しない点)で、どうにも拒否反応ばかりあって、なんだかもやもやしたものが残ってしまった。
映像としてはきれいだったけど、物語としては、なんだか受け入れがたいものがあった感じです。