星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「三月は深き紅の淵を」 恩田陸

小説・一般8.「三月は深き紅の淵を」 恩田陸 講談社文庫

再読です。記録によると、前にこの本を読んだのは2002年の1月だったらしい。2002年のベスト5にまで入れていた作品だったのに、7年ぶりに読んでみたら、多少なりと色あせた感じがした。

入れ子細工式の物語の構成は、物語を作ろうとする上では面白い試みだし、勉強になる描き方だなあ、と思ったが、肝心の物語から受ける印象は、今ひとつ、空虚で、結局「だから、なんなの?」という疑問にたどり着いてしまう。

読者として、何か物語から得るものがあったかな〜? などと考えると、テーマ的な深みはあんまり感じられなくて、単に凝った物語を読んだな・・程度の印象しか残らない。

文章はさすがにきれいで、恩田陸らしいイメージも豊富なんだけれど、今の私が読みたいのはこういう話じゃないなあ、という感じかもしれない。問題は、にもかかわらず、過去に買い込んでしまった恩田陸作品がまだいっぱいあると言うことで、仕方がないから、これから順番に読んでいこうと思ってます。

一応、この物語は次に「麦の海に沈む果実」や「黒と茶の幻想」などにつながって行くみたいだから、その辺から宿題を片付けていく予定。一応、読みたいとは思っているんだ。楽しみにしてます。