星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

山田尚子監督 「聲の形」

映画18.山田尚子監督 「聲の形」 (日本・2016)

原作コミックは未読。予告編を見る限り、高校生の恋愛ドラマでしょ? 程度に思っていたが、ふたを開けてみたら、恋愛ものというよりは、友情ものだし、それも壊れていく関係性を描いたとても痛い作品だった。

昔、押井守が、「僕達のやっていることは、子供たちに現実逃避の場を与えているだけではないのか?」と問題提議して、「ビューティフルドリーマー」が作られたわけだけれど、では、限りなく現実に近く、生々しく子供たちに突きつける物語を作るにはどうしたらいいのか? 作り手側が、試行錯誤して、こういう作品が出来上がってくるのだろうかと、そんな風にも深読みしてみた。

小学生時代、彼女が現れるまでは、そこは楽園だった。みんなが楽しくやっていたのに、たった一人の女の子がやってきたことで、いろんな関係が崩れてしまった。修復不可能な傷跡を持った少年少女たちのドラマ。本音を語る子、ごまかす子、逃げる子、そういう彼らの言動が、いちいち見ているこちらにも突き刺さってくるし、それを映画ならではの、京アニの独特の映像美で見せてくれたのがよかったと思います。

なかなかすごい作品でした。圧倒されたと書いておこう。